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Supercharged 02 Insights from keywords studios over a blue background

第2号:ファン・ファースト(Fan First)

四半期ニュースレター『Supercharged: Insights from Keywords Studios』へようこそ。

 

『Supercharged』は、ゲームコンテンツのライフサイクル全体を見渡す私たちのグローバルな視点を活かし、次に来るトレンドや最も重要なトピックを探求するインサイド・ストーリーをお届けします。

 

本ニュースレターでは毎号、専門分野や市場の枠組みを超えたトレンド、アイデア、そして戦略を結集してお伝えします。単なる業界観察にとどまらず、ゲーム、メディア、エンターテインメントの最前線から得られた「実践的なインテリジェンス(知見)」をお届けするのが特徴です。

 

今号は、現代の最も成功したタイトルローンチの核心にあるテーマ「ファン・ファースト(ファン最優先)」からスタートします。

 

今四半期号の執筆を担当するのは、Keywords Studiosでコミュニティマネジメント部門のヘッドを務めるジェームズ・ギャラガー(James Gallagher)です。コミュニティがいかにして形成され、育成され、動かされていくのかについて20年にわたる知見と専門性を注ぎ込んでいます。

 

個々の発信力が分散し、プレイヤー主導で作品が発見される現代において、ファンダム(ファンコミュニティの熱量)は、拡大し、変化し続ける、企業のコントロールを超えた「生きた生態系(エコシステム)」となっています。スタジオが成功を収めるには、ファンがいる場所へ赴き、ファンの言葉で語りかけ、ファンと同じ空間を共有しなければなりません。本号では、真摯にエンゲージメントを高め、共感を呼び起こし、ビジネスの成果を大きく動かすコミュニティをいかに育てていくかを探求します。

 

「ファンを主体とし、ファンの声に耳を傾ける」とはどういうことなのか、今一度一緒に考えてみましょう。

 

「ファンがいるからこそ、私たちがここに存在できるのです」


— James Gallagher, Head of Community Management at Keywords Studio

ファンダム生態系(エコシステム)のポテンシャルを最大限に引き出す

公式チャネルの立ち上げ、コンテンツの制作、そしてコミュニティが育つ場所の育成——これらは、コミュニティマネジメントやソーシャルマーケティングにおいて、誰もが即座に思い浮かべる活動です。

自社が所有・運営するチャネル(オウンドメディア)がゲームやエンターテインメント作品のマーケティング施策において不可欠な要素であることは間違いありません。しかし、ファンダムとは私たちの直接的なコントロールが及ばない領域にまで広がる、非常に複雑な生態系(エコシステム)なのです。

ファンとは単なる受け手ではなく、デジタル領域全体で作品と繋がり、情報を共有し、魅力を称え合うクリエイターであり、インフルエンサーであり、そして強力な擁護者(アドボケイト)でもあります。ファンダムの真の情熱は、自社の枠組みを遥かに超えた場所で脈打っています。ブランドに今求められているのは、外部の世界へと足を踏み出し、ファン主導のコミュニティを受け入れ、インフルエンサーと心を通わせるパートナーシップを結ぶことです。そして、自社が直接管理していなくとも、深い影響を与えることができる場所で、誠実かつ積極的な存在感を示していくことなのです。

それでは、ご自身のゲームやエンターテインメントIPにおける「ファンダム生態系」をどのようにマッピングし、熱量を高め、コミュニティの感情(センチメント)を育んでいくのか、その具体的な手法を探っていきましょう。

Fan_first_funnel_chart

ファンダム生態系(エコシステム)のマッピング

ファンダムが最も色濃く集結する場所は、最も普及している主要なSNSです。これらのネットワークには、ユーザーの多様な欲求に応じた独自の運用モデルが存在します。各プラットフォームの特性を理解することは、最も効果的なアプローチ戦略を構築する際の重要な指標となります。

人気のあるIP(知的財産)では、公式のブランドアカウントにとどまらず、こうしたネットワーク全体で数百、時には数千に及ぶ外部アカウントが存在しています。その内訳は多岐にわたります:

  • 特定のIPやジャンルに特化したコンテンツクリエイター
  • IP全体、あるいは作品内の特定のニッチな要素に特化したファン主導のコミュニティ
  • ギルドやeスポーツチームといったファンの有志コレクティブ(集団)

 

ファンダム生態系(エコシステム)の理解をさらに深めるため、これらのアカウントを「ブランドとの関係性」「ファンにとっての目的・役割」「感情や熱量を育むために私たちが活用できるツールや施策」に基づいてカテゴリ分けし、整理・マッピングしていくことができます。

Owned_earned_Networks

ファンダム生態系(エコシステム)の計測・測定

公式のオウンドチャネルからアーンドチャネル、そしてソーシャル上の会話に至るまで、ファンダムの生態系全体を把握できたら、次はいよいよこれらの領域を測定する段階へと進みます。具体的な測定指標は以下の通りです:

  • 各領域はどれほどの人々にアプローチ(リーチ)できているか?
  • それぞれの空間に集まる人々はどのような属性・プロファイルを持っているか?
  • それぞれの空間における作品(ゲーム)への全体的な感情(センチメント)はどのような状態か?

 

大型タイトルの場合、この調査は極めて大規模な取り組みとなります。幸いなことに、オンライン上で自社製品がどこでどのように語られているかを追跡・測定するための有料ソーシャルリスニングツールが数多く存在します。

これらのツールには、特定のチャネル(Twitchなど)の測定に優れているものや、感情分析(センチメントアナリシス)などの特定機能に長けているものなど、それぞれ得意分野があります。ツールを検討する際は、自社が追跡・分析したいチャネルをしっかりと網羅しているか確認することが重要です。

なお、高度な有料ツールを使わなくとも、シンプルなスプレッドシートといくつかの無料オンラインリソースを活用することで、手動でデータを収集・集計していくことも十分に可能です(※既存の有料ツールをお持ちの場合は、それらと組み合わせて補完・代替することもできます):

Owned_Connected_Earned_chart

手動でのリサーチ作業には相応の時間と労力がかかりますが、このプロセス自体を通じて、「市場やオンライン上にどのような空間が存在し、そこで何が議論されているのか」をより深く本質的に理解できるようになります。

情報の収集に役立つ主な無料リソースには、以下のようなものがあります:

 

エコシステムの規模感を可視化するには、お好みのビジュアライゼーション(データ視覚化)ツールを活用できます。個人的には、オウンドチャネル(自社所有領域)からアーンドチャネル(外部コミュニティ領域)までの各セグメントの推定リーチ数を示す「バブルチャート」で表現するのが分かりやすくおすすめです。

もし自社のコミュニティチームが業務時間の約70%をオウンドチャネルの運用だけに費やしている場合、このバブルチャートで可視化された全体像を見ることで考え直し、スケール(規模感)の大きいアーンド側に位置するコミュニティビルドやコンテンツクリエイターとの関係構築・育成により多くの時間を充てるための良いきっかけ(シフトの契機)になるかもしれません。

提供価値(バリュー)とは、クリエイターとの良好な関係を途切れさせず、持続させるための燃料(原動力)となるものです。ほとんどのクリエイターは「自身の視聴者やファン層を拡大したい」という野望を抱いており、ブランド側にはその目標達成を後押しできる豊富なリソースが存在します。提供できる主な選択肢には以下のようなものがあります:

  • 未公開コンテンツの先行公開(スニークピーク)
  • Twitchドロップス用のゲームキーやゲーム内通貨の提供
  • アセット(広報素材)の公開をサポートする追加のBロール(補足映像素材)
  • 制作陣やキャスト・出演者へのインタビュー機会の提供
  • イベントへの招待
  • オリジナルグッズ(ノベルティ)の提供

 

クリエイター・プログラム(Creator Programmes)

クリエイター・プログラムとは、上述した「人間関係(リレーションシップ)」と「提供価値(バリュー)」の原則を、運用可能なひとつのシステムへと進化させた仕組みです。

基本的な本質は変わりません。プログラムの参加者にとって親しみやすく頼れる「連絡窓口」が存在すること、そしてクリエイターの関心を惹きつけ続けるため(さらには新進気鋭のクリエイターが「いつか自分も参加したい」と憧れる存在であり続けるため)に、継続的な価値(バリュー)を供給し続けることが不可欠となります。

Fandom_Ecosystem_Player_at_computer

クリエイター・プログラムを構築する際、さらに考慮すべきポイントには以下のようなものがあります:

  • プラットフォーム:

プログラムをどこで運営・管理するでしょうか? Discordは非常に人気のある選択肢であり、専門のツール・プラットフォームも増加しています。Keywords Studiosでは、この目的のために開発された独自のプラットフォーム「Creator Lab」をご提供しています。デモのご希望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • 選考・参加基準(Criteria):

クリエイターがプログラムに参加し、メンバーであり続けるために満たすべきチェックリスト(条件)は何でしょうか? 条件は「門戸を広く開く排他性のないレベル」に設定しつつも、合格したメンバーにとって「達成感や誇り(ステータス)を感じられるレベル」にバランス良く設定することが大切です。この基準は、作品におけるクリエイターコミュニティの規模に応じて調整するとよいでしょう。

  • 審査・モニタリング(Vetting):

プログラムのメンバーが制作するコンテンツにおいて「含めて良いもの・不可となるもの」のガイドラインをしっかりと策定してください。たとえば、若年層向けの作品である場合は、過度な暴言やアルコールに関する表現を禁止するといった規約が考えられます。目的は表現を規制・検閲することではなく、プログラムへの参加というお墨付きを通じてブランドを象徴するコンテンツとして、妥当で健全な合意を形成することにあります。また、新規メンバーおよび既存メンバーの双方について、ブランドの評判に直接的または間接的に悪影響を及ぼす内容がないか、投稿されたソーシャルコンテンツをチェックするための運用体制・リソース(帯域)を確保しておく必要があります。

※なお誤解のないよう補足すると、これは建設的な批判や意見を禁止するものではありません。パートナーシップとして適切な範囲内であれば、クリエイターが自分自身の誠実でリアルな意見(率直なレビュー等)を表現できる環境を守ることが大切です。

  • レポーティングと記録管理(Reporting):

クリエイター・プログラムが拡大するにつれて、メンバーシップ情報、各メンバーへ提供した案件・機会、投稿されたコンテンツ、ならびに視聴回数、チャンネル登録者数の伸び、視聴者感情(センチメント)といった各種支援データを詳細かつ綿密に記録・トラッキングしていくことが重要となります。

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おわりに(Final Thoughts)

自社が所有・運営するオウンドチャネルの枠組みを超えて思考を巡らせ、ファンダムの「生態系(エコシステム)全体」を見据えた戦略を構築することは、これまで気づかなかった新たな可能性や機会(ポテンシャル)に目を向けるきっかけとなります。しかし同時に、その領域の広大さに圧倒されてしまうこともあるかもしれません。

ファンダム生態系のあらゆる領域において、常に完璧なアプローチを実践できているブランドはほんの一握りです。

しかし、これらの空間や各領域がファンに対してどのような役割を果たしているのかを意識・分析するだけでも、「どこでインパクトを生み出すべきか」「どのようにアプローチすべきか」「その成果をどのように測定すべきか」に思考を集中させることができるようになります。

もし今回のアイデアやアプローチが貴社のマーケティング目標やご関心に響くものでありましたら、ぜひ弊社のストラテジスト陣にお気軽にご相談ください。貴社のファンダムが持つ可能性を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。

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